真夜中の恋人13

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 あっという間もなく、佐久間が教授らと同様に千雪のグラスにもビールを注ぐ。
 ウザい…………
 睨みつけても、結構このメガネのせいで、ちょっと見ではあまり表情がわからないらしい。
 いい加減、このコスプレも飽きているところなのだが、それをやめた時の周囲の反応を考えると、自意識過剰と言われようと、もっとウザいことになるに違いないのだ。
「先輩もあっち行って一緒に飲みましょうよ」
「俺はここでええ」
 佐久間の誘いを、千雪はきっぱり断る。
「私たちに遠慮しなくてもいいんだよ?」
 宮島教授の気遣いもありがたくはない。
「さすが名探偵ともなると、俺らのような下っ端とは酒も飲めないってわけだ?」
 よく考えれば、京助には非がないのだが、この速水という男には強烈に頭にきていた。
 ひいてはあんな下卑た台詞をはくこの男とご友人な京助も気に入らない。
 おそらく京助の部屋にいた人間と今ここにいる千雪が同一人物とは気づいていないようだが、いずれにせよ皮肉屋で性格は曲がりくねっていそうな気がする。
 わざと人を煽って反応をみようという魂胆かもしれないが、到底好きになれない男だ。
「確か、五年前? 六年前だったっけ? お二人、付き合ってたわよね?」
 大テーブルの方では、牧村が早速、京助と文子の焼けぼっくいに火をつける会の口火を切ったらしい。
「大昔の話だ」
 京助が即答する。
「マスコミを騒がせるばかりが能じゃないだろ? 今、付き合ってるヤツいないんなら、この際、元の鞘におさまっちまえよ?」
「川西くん、京助くんがモテ過ぎるからひがんでるんだよね~」
「いや、ひがみたくもなるって、ちょっといいなって思った子がいても、京助見るともうきゃーとか言っちゃって。京助くんが落ち着いてくれればね~」


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