真夜中の恋人130

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 おっとりと微笑むのは、その三田村の隣に座る小夜子だ。
 京助が千雪と小夜子を伴って会場に現れると、この二人の美貌の主に一気に視線が集中した。
 千雪はその視線を感じて嫌がったのだが、天然な雰囲気の小夜子は、千雪とその周りの人間以外目に入らないらしい。
「お友達て、小夜ねぇ、いくら何でも子供やあるまいし………」
「大丈夫です。千雪のことはこの俺にお任せ下さい」
 千雪のぼやきを無視して、小夜子にしっかり宣言する三田村を千雪の左隣に陣取った京助は険のある目で睨みつけている。
 そんな彼らを少し離れた席で観察せざるを得なかったのは速水だった。
 今までお目にかかったことがない程の美貌の主が小林千雪とわかってから、千雪を敬遠気味になり、今ひとつ自分らしさを欠いていた速水だが、その千雪によく似たこれまた美女が一緒に現れたのだ、驚いたなどというものではない。
 演奏会が終わったら、あの美女の正体と千雪との関わりを京助に問いただしてやろうと思っていた矢先、隣に座った文子が千雪たちに気づいた。
「あら、あの方、確か大和屋のご令嬢だわ」
「えっ、文子さん、知ってるのか? 大和屋って?」
「日本橋にある老舗の呉服問屋さんよ。原小夜子さんとおっしゃるの。聖真女子付属の頃からお美しさは評判だったのよ。雑誌社が勝手に隠し撮りしたことがあって、その時は学校側と揉めてたみたい。うちの高校と近かったし、男子の憧れの的だったもの」
「なるほど……」
「それにしても京助さんの隣に座ってる方、小夜子さんの弟さんかしら? 男の方よね? すごくおきれいな方」
「あ、ああ…そう………かな……」


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