真夜中の恋人131

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 それであの美貌の原小夜子と小林千雪の関係は何なんだ? よく似てるんだが……
「あ、そういえば! そうだわ!」
 文子がちょっと声高に言うので、じっと小夜子と千雪を見つめていた速水は振り返った。
「確か、女流画家の原夏緒って、彼女の叔母様にあたるのよ、そう、小夜子さん、原夏緒によく似てらっしゃって」
「原夏緒? 女流画家?」
 速水は今度は何だという顔で文子を見た。
「私だってロマンチックな女子高生の頃はあったのよ」
「え? ま、そりゃ」
 いきなりな話の方向転換に、速水は苦笑いする。
「原夏緒って、それは素敵な絵を描いた画家なんだけど、その生涯がまたドラマチックなの」
「生涯って、故人?」
 文子は頷いた。
「もう画家として活躍してらした上に、あの美貌でしょう? 降るような縁談があったらしいの。でも彼女には学者さんの恋人がいたんだけど親に反対されて、二人は駆け落ちしたんですって。残念なことにちょうど私が高校卒業する頃だったかしら、亡くなってしまわれて……美人薄命ってこのことよね……」
 はあっと、文子は溜息をついた。
 その時、速水はふと思いついたことがあった。
「その、原夏緒って、駆け落ちして結婚したんだろ? 姓は変わらなかったのか?」
「あら、そうよね、原さんて大和屋さんのことよね。何だったかしら……」


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