真夜中の恋人134

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 文子は断言した。
「参ったな……俺は益々通り一遍の見方しかできない役立たずな気がしてきた」
「むしろ………あの極端な身なりには何か意図を感じるのよ。多分、理由があってわざとあんな身なりをしているんじゃないかしら?」
「脱帽だ。俺は名探偵に負けたが、君は勝てるかもな」
 文子は笑った。
「すぐ男の人って勝ち負けで物を判断するのよね」
 しかし女はやっぱり強いなと改めて感心しつつ、颯爽と歩く文子の後姿を眺めながら速水は廊下を歩いていたが、やがて控え室が見えてきた。
 中からは何人かの笑い声が漏れていた。
「それは多分高校二年の文化祭の時やと思います。うちと小林くんとでジャズの連弾やった時ですよね?」
「そうだったわ。その時にお目にかかったのよね?」
「あいつ、ピアノなんか弾けるのか?」
「ええ。そういえば、あの文化祭で小林くん、クラスの出し物で無理やりお姫様やらされて」
「思い出したわ、白雪姫?」
「違います、千雪姫と七人のヤンキー」
「やだ、あれ、あの脚本、三田村くんが書いたんよね、ひどい脚本」
「それはないやろ、桐島」
 そこへ文子と速水が顔を覗かせると、中にいた面々が振り向いた。
「まあ、文子さん、速水さん、お忙しいところ今日はありがとうございます」


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