真夜中の恋人138

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 そんな小夜子が唯一好きになった相手はさっさとあの世に行ってしまった。
「旦那が亡くなってもう結構経つんだろ? 見合いでもして結婚した方がいいんじゃねぇ?」
「うーん、今は仕事に燃えてるみたいやで?」
 キャリアウーマンとは程遠いが、あの調子でそれこそ三田村じゃないが、大和屋の企画や得意先担当としては、それなりに頑張っているようだ。
 そんな話をしながら千雪がふと気がつくと、京助のマンションの駐車場である。
「ここお前んちやんか」
「俺んちじゃない、俺の部屋があるマンション」
「同じやろ。車、実家に返しに行くて言うてなかったか?」
「ああ、そのうちな。それより、ポトフ作ったんだ、美味いぞ」
 演奏会の前に小夜子と三人でサンドイッチなどを軽くつまんだだけだったので、帰りはお茶を一緒にどうかと誘ったが、疲れたからという小夜子を家に送り届けたのだが。
 結局のところ、千雪はポトフにつられてキッチンの横のテーブルにいた。
「食べたら帰るからな」
 京助が笑う。
「速水なんか来やしねぇよ。それに鍵も取り替えた」
 しばらく二人は向かい合って座り、そう言葉もなくポトフとワインに集中した。


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