真夜中の恋人15

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 横に座る心理学研究室の垣内が死語を連発する。
「そうよね、イケメンだし、ほんとはたくさん女の子泣かせてるんじゃないの?」
 牧村が茶化す。
「冗談でしょ、俺はいつも一直線、当たってくだけちゃったんですよ。春になっても心はまだ冬のまま………凛とした美しい人だった……」
 大げさに身振り手振りで自分を演出してみせる。
「あらぁ、速水さんを振るなんて、やっぱり金髪美人?」
「いえいえ、京都出身のはんなり美人で、しかもピアニスト、芸術家で………。付き合ってほしいってダイレクトに言ったら、振られたけど好きな人がいるんですって、きっぱり。そういうところも凛として、素晴らしい人だったな。全く、あんな素晴らしい人を振るなんて、どこのどいつか知らないが、そいつの目は節穴だ!」
 拳を握りしめて喚く速水の横で、文子がクスクス笑う。
「そうね、彼女に振られた数日は、速水くん、立ち直れなかったものね」
「ああ、彼女のことを思い出すと、今でも心がうずく! 京助、貴様にはこんな純粋な恋心なんかわからねぇだろうなぁ」
 尚も突っかかる速水を見て、京助はフンと鼻で笑う。
「てめぇの薄汚れた心なんかわかってたまるか」
「何だと?」
「そういえば、桐島さんて、京都の祇園高校の出身って言ってたけど、小林さん、高校はどちらでした?」
 またしても喧々囂々が始まりそうな二人を遮って、文子が唐突に声をかけた。
「え、桐島……恵美?」
 がたんと立ち上がったのは速水だ。
「何で知ってる? 名探偵!」


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