真夜中の恋人24

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 最新の女性誌の表紙を飾る女優は、名前は覚えていないがCMか何かで見た記憶があった。
 千雪の前に芳しい香りの紅茶とクッキーが並んだ小皿が置かれた。
「ありがとうございます。今夜も残業ですか? 大変ですね」
「いいえ、私はオフィスにいるだけですから。工藤さん、今、お忙しい時ですしね」
 鈴木さんがトレーを持ってキッチンに引っ込んだその時、勢いよくオフィスのドアが開いた。
 入ってきたのは背の高い栗色の髪がゴージャスな女性である。
 この人やろか、ヒロイン候補て。
 漠然と見上げた千雪だが、その人は無遠慮にジロジロと千雪を見下ろした。
「平、何の用だ?」
 どうやら工藤もこの女性の出現には驚いたようで、電話を切って立ち上がる。
 てことは、またしても修羅場?
 千雪は心の中でそんなことを呟いた。
「工藤さん、村田ゆかり、もう一度考えてみてくれない?!」
「もう話はついているはずだ。あのキャストはあいつには荷が重すぎる。村田に才能がないとは言わない。だが、今ここでは早すぎる」
 工藤はかなり苦々しい表情で言い放つ。
「大丈夫。私が何とかしてみせるわ。お願い、もう一度チャンスをちょうだい」
 平と呼ばれた女性は揺ぎ無い口調で言い切った。
「仕方ないな。やってみろ」
「ありがとう。あなたを後悔させるようなことはしないわ」


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