真夜中の恋人26

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 千雪はフウと一つ溜息をつく。
「小林です。モデルでも女優でもありませんよ、俺は」
 一瞬間があった。
「ウソ! びっくり! ごめんなさい、男の方だったの? だって、すんごいきれいだし。さっき工藤さんも、新しい彼女ってそうだって言ってたでしょ? え、あ、そういうこと? 男の子でもありだもんね」
「勝手に誤解しないでください。あれは工藤さんのでまかせです。君こそ、工藤みたいなオッサン、やめといた方がええん違います? いつかの人の二の舞にならんうちに」
 きっぱりと否定してから、ここにきてまで面倒な人間模様に付き合わされた千雪はつい余計なことを口にしてしまう。
「やあね、あたしと工藤さんがどうにかなるわけないじゃない」
 万里子は軽く笑い飛ばした。
「万里子さん、どうぞ」
 鈴木さんが千雪の向かいにお茶を置いて、万里子を促した。
「あら、おいしそう。いただきます」
 万里子はソファに座り、長いストレートの髪を無造作に?き揚げると、クッキーをつまんだ。
「ねえ、それより鈴木さん、今夜もこんな時間まで? あとはあたしやっておくから、いいわよ、帰っても」
 鈴木さんを労わり、気軽にそんなことを申し出る万里子は、さっぱりした性格のようだ。
 そういえば、確か平造がオフィスのことをやってくれると話していたのは、彼女のことだったかもしれない。
「女優さんに、そんなことさせられませんわ。小林さん、お紅茶おかわりいかが?」
「ありがとうございます。俺はもう結構です」


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