真夜中の恋人27

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 鈴木さんがキッチンに引っ込むと、しばし沈黙があった。
「小野、万里子さん?」
 雑誌の表紙と見比べながら、千雪は呼んだ。
 つまり、映画のヒロイン候補はおそらく彼女だろう。
「映画のヒロイン?」
「ええ、工藤さんにやってみないかって言われて。映画は久しぶりだから、嬉しいわ」
「こんなミステリーの犯人役でも?」
 工藤に任せると言ったものの、ヒロインということになると犯人役になるわけで、ちょっと千雪は聞いてみたくなった。
「私、好きよ、ミステリー。本も読んだけど、何か、ミステリーにしてはロマンチックだし、それに面白かったわ。あ、あなたも出るの? この映画に」
「そうだ、出るか? お前も、映画に」
 万里子に答えたのは、ちょうど戻ってきた工藤だった。
「冗談言わんでください。それと、ええ加減なこと言うの、やめてください」
「あっちが勝手に思い込んだんだろ。俺はホントにしてもいっこうに構わないが」
 工藤はニヤニヤと煙草に火をつける。
「そういう笑えないジョークはもっとやめてほしいわ。そういえば、犯人とか、原作のままなんですか?」
 一言釘を刺して、千雪は尋ねた。
「あたりまえだ。お前もいじられるのはいやだろう?」
「まあ、そうですけど、映画になったらやっぱり別物ですし」
「あの!」


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