真夜中の恋人3

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 マンション全体は兄の紫紀名義で、五階までを仕事関係の外国人に貸しているという。
 広いベッドで惰眠をむさぼっていた千雪は、もう日が高く上がっているのだとわかっていながらまだ目を開けたくなかった。
 最初は、カーテンを開けたのは当然京助だと思っていた。
 だが、傍らに立つ人の気配が、千雪の頭の中で違和感を覚えさせた。
 布団をはねのけてうつ伏せに眠るむき出しの背中に、奇妙な視線を感じた。
 薄く目を開けた千雪は、自分を覗き込む男の目にぶつかった途端、がばっと跳ね起きた。
「誰やね?! お前!!」
 男の目はすると一層見開かれ、まじまじと千雪を見つめる。
「誰だとはこっちが聞きたいが………」
 京助ほどしっかりした体躯ではないようだが、スマートに品のいいスーツを纏ったその男は、ニヤリと笑った。
「いや、誰だなんてヤボなことは聞かないが、また恐ろしく京助のやつに可愛がられてるらしいな」
 一瞬、男の言う意味を計りかねたものの、すぐにそうと思い当たった千雪は、身体中が沸騰しそうな思いで、「京助!! どこやね!!」と声を上げた。
「俺が来た時、京助のやつもういなかったぜ?」


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