真夜中の恋人36

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 さらにウザい連中まで佐久間の後ろからやってきた。
 勘弁してくれ。
 思い切り眉を顰めて千雪が顔を上げると、速水の横で文子と何やら話していた京助と目があった。
 と、京助はたったか千雪の横に座る。
「いいか、別に彼女とはただ心理学の話をしていただけだからな」
 座りしな、言い訳のように千雪の耳元でこそっと囁く。
 やから、そんなことイチイチ弁解せんかてええ!
 速水は文子の椅子を引いてやり、佐久間はトレーに載せていた四人分のコーヒーをそれぞれの前に置くと、自分も座る。
「ひょっとしてお邪魔でしたかな? 名探偵」
「そうですね」
 名探偵、などといかにもバカにしたように付け加える速水の挑発には極力乗らないようにとは思うものの、つい考えるより言葉が先に出てしまう。
「ごめんなさい、お邪魔してしまって」
 申し訳なさそうに言う文子に対しても、あえて取り繕ったりおもねるような言葉は出てこない。
「すみませんね、先輩、ウソつけへんタイプやから」
「結構じゃないか。日本人の悪い癖は妙なおためごかしで、なかなか本音を言わないとこだ。その点、名探偵ははっきりしていて、わかりやすい」
 佐久間が千雪を代弁すると、速水は皮肉っぽい言いまわしでジロジロと千雪を見つめる。
「そういえば、君の小説が映画化されるってことだが、佐久間くんの話だと、何やらうさんくさいプロダクションらしいじゃないか?」
 今度は何やね?


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