真夜中の恋人39

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 京助らにちょっと会釈をして千雪を連れて行った渋谷を指して、速水が尋ねた。
「捜査一課の刑事だ。だいたい、こないだは千雪を容疑者扱いしといてどの面下げて来やがるんだ! 厚顔無恥な連中だ。千雪なんかに頼らず、ちったあ自分の頭を使ってみたらどうだ?! へっぽこデカどもめ!」
 むしゃくしゃしていた京助は、ちょうど現れた渋谷に当り散らす。
「千雪さんが怒るの、あたりまえだわ」
 それまで静観していた文子を三人は振り返った。
「速水くんも佐久間さんも、どれも第三者からの伝聞をそのまま鵜呑みにしてるだけじゃない。その工藤さんて方のこと、ちゃんと調べてからならわかるけど、まるきり説得力ないし、らしいやみたい、なことで他人を貶すなんて、速水くんらしくないけど?」
 静かな言いまわしで窘められ、速水は肩をすくめる。
「京助さんのは頭ごなしって感じで、問題外ね」
「うっせーよ」
 文子にも京助はあからさまに仏頂面を見せてふんぞり返った。
 あのヤロウ、妙に工藤の肩持ちやがって!
 千雪が遮らなければ、京助はとっくに自分の感情を吐露していただろう。
 京助としてはそうやって押し隠すのすらもどかしいだけなのだが。
「ま、いんじゃねーの? 名探偵が自分で決めてやってることだ。確かに俺らに関係ないし? どうなろうと知ったことか」
 千雪だけでなく、文子にまで諌められたことが速水には面白くなかった。
 しかもその通り、なだけに、負け惜しみの台詞を吐いて、速水は立ち上がった。


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