真夜中の恋人4

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 そういえば、朝イチで教授に呼ばれていると京助は言っていた気がする。
 だったら一体こいつはどうやって入ってきたんだと訝し気に千雪は男を睨みつける。
 兄弟にしては全く似ていない。
「ああ、俺か? 俺は速水克也。京助のガキの頃からの友人だ。怪しいもんじゃない。夕べ東京に着いて、大学行く前に京助がいるかと思ってね。アメリカ行く前に部屋を引き払って遊んでた時、ちょっと居候してて、カギ、持ってるんだ」
 端的な説明に、男が何故部屋にいるかは理解できたものの、あまりいい状況とはいえないのは明らかだ。
「しかし、噂の『真夜中の恋人』がこんなきれいな坊やだったとはな。いやあ半端ない美人だし、さすがの京助もたらし込まれても納得ってもんだ。で、君、ハーフ? モデルとか? 俳優のタマゴ? まさかその手の仕事?」
 イケメンの部類だが、その台詞にひどくいやらしさを感じて、沸騰した千雪の頭も次第にクールダウンする。
「出てけや。着替えるし」
 アメリカ暮らしの証だとばかり、速水は肩をすくめて、またニヤリと笑う。
「こいつは失礼」
 速水が出て行くと、千雪は傍らの椅子に引っ掛けてあった服を慌てて着込み、部屋を出た。
 吹き抜けになっているリビングを見下ろすと、所在無げに速水が立っていたが、千雪は階段を降りると、「え、帰るの? 名前くらい教えてよ」と言う速水を無視して部屋を出た。


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