真夜中の恋人40

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 小田和義の事務所は地下鉄半蔵門線の半蔵門駅を降りてすぐに見つかった。
 宮島教授の名前を拝借したせいか、詳しいことは話さなかったが、六時過ぎでよければと急だったにもかかわらずアポは取れた。
 古いビルの二階が事務所になっており、広くはないがこじんまりと清潔感のある印象を受けた。
「小林様ですね、どうぞこちらへ」
 受付をしてくれたのは四十代くらいだろうか、髪をひっつめ、スーツが板についた女性で、千雪が一応ジャケットは着ていったものの眼鏡にボサボサ頭というイデタチにも関わらず、背筋を伸ばしてきりりとした応対をして千雪を応接間へ案内してくれた。
「お待たせしました」
 先ほどの女性がお茶を運んできたのと入れ替わりに、小田が現れた。
「小田和義です。どうぞ、お座り下さい」
 立ち上がって名刺を受け取った千雪は、「小林と申します。お忙しいところお時間をさいていただきありがとうございます」と言いつつソファに座りなおす。
 小田はがっしりタイプで少々腹が出てきつつある落ち着いた雰囲気の人物だった。
 温厚そうだが、広い額や目の輝きが、知性を物語っているようにみえた。
「宮島教授のところの小林さんというと、あの名探偵殿かな? 小説家の」
 小田は軽妙な口調で切り出した。
「勝手な噂をたてられてるだけですが、小林千雪です」
 千雪は少し自分の名前を強調して小田を見た。


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