真夜中の恋人41

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 さすがに弁護士だけあって、その表情からは何もわからない。
「刑法と処罰について、考えているところなのですが、弁護士として実際の事件を扱っておられる先生に、差しさわりのない程度でお話を聞かせていただけたらと思いまして」
 もちろん、自分が携わっている課題についてもこの際話が聞ければというのもあった。
 近年ネットやマスコミといった情報伝達の影響力が大きく、加害者のみならず被害者やその家族までもが誹謗中傷のターゲットにされることを危惧しているといったことから、罪を犯したその時の加害者の心理状態や環境といったものを刑罰を決定する上でどのように扱うかといったことまで、小田は終始穏やかに話してくれた。
「捜査一課の連中が結構君にアドバイスをもらっているようなことを聞いているが、お陰で真犯人が見つかったようなこともあるようじゃないかね?」
 話の続きのようにさり気なく問われて、千雪は少し戸惑った。
「いえ……僕は捜査の専門家ではありませんが、たまたま知り合った刑事と話すことがあって、着眼点を変えることができなくなっているから前に進めないのではないかと……その程度のことで、実際は警察がちゃんと仕事をしたからというだけなので」
 なるほど、と小田は頷いた。
「しかしこないだは危うく容疑者にされるところだったみたいじゃないか?」
「ああ………」
 千雪は苦笑いした。
「でも容疑者にもされてみるものだと………こうやって思い込みで冤罪が起こるんだと実感しました。いや、犯人と決め付けられて事情聴取されたことには、つい、辛らつなことを言い返してしまいましたけど」


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