真夜中の恋人46

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 おそらく宮島教授も彼らと同じ意識を持っているのではないかと、千雪は思った。
 非常に穏やかな人だが、その理論は時として怜悧で厳しいものがある。
「ただ工藤には、その上にある桜木への思いがまだ昇華されずに燻り続けている。二人の間には誰にも入っていけないくらい惹かれあっていたからな。工藤のやつ、一時ひどく荒れていて心配したんだが」
 なるほど、エロオヤジにもいろいろあったわけか。
 その思いを推し量ることなどできそうにない。
「……桜の頃ですか? ちゆきさんが亡くなったの」
 ふと、そんな気がしたのだ。
 今は愛でるのもこのじじい一人で、桜も寂しがってることじゃろ…
 平造の言葉が頭に浮かぶ。
「ああ、そうだったな」
 小田は噛みしめるようにそう口にした。
「そういえば、どうしてそんな奇抜な格好してるんだ?」
 帰り際、唐突に小田が尋ねた。
「え、工藤さん、言うたんですか?」
「なるほど、やっぱりわざとなんだな?」
 つい問い返してしまった千雪は、苦笑する。
 茶目っ気を見せた小田は、またいつでもおいで、と小学生を帰すような口ぶりで千雪の肩を叩いた。


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