真夜中の恋人47

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    Act 5

 
 六本木の大通りから少し入ったところにあるバー「サンクチュアリ」は、富裕層が利用する高級会員制クラブの系列で、VIPルームもあるシックな店だが、京助や速水にとっては高校時代からのたまり場で、加えて大抵何人もの遊び仲間が屯していた。
 久々にドアをくぐると、久しぶり、と京助に声をかけてくる者もいる。
 もともと金のある知りあいに連れられてきた二人だが、当時から誰も高校生とは思わなかったようだ。
 ちょうど京助が京都大学進学で東京を離れたのをいいことに、それまで住んでいた部屋を解約した速水は留学する九月までを京助の部屋に居候して、この店にも足しげく通い、大いに羽を伸ばしていた。
「あら、京助じゃない、久しぶりね。克也も帰ってたの?」
 早速声をかけてきたのは、たまに京助と噂に上ってマスコミに書かれたことのある華道家元の娘、五所乃尾理香だ。
 華やかな美貌とはっきりしたきつい性格で男たちを手のひらで操るくらい朝飯前の女王様ぶりはよく知られている。
 京助も当時つき合っていた小山美沙や、二年後T大に入り直して少しつき合った文子を連れてきたこともある。
 だが、結局美沙には振られ、文子とつき合ったものの美沙のことがまだ忘れられずダメになり、それから自棄になって遊びまくっていた頃、理香とも寝たことがあるが、彼女とは遊びでしかない。
 そういう京助を知っている者がいるだろうこの店に、千雪を連れてくるつもりはなかった。
 今夜はフランス人らしい男がべったりくっついていた。
「あちこちで聞いたわよ、噂の真夜中の恋人って、今日は一緒じゃないの? 京助」
「何だそれは」


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