真夜中の恋人51

別嬪back  next  top  Novels


 気に入っているのは女将のきっぷのよさだけではない、上辺で人を判断しないところだ。
 浮浪者並みの常連客にも金のなさそうな学生にも、女将の態度は変わることはない。
「今度は相棒も連れておいでよ」
 女将の明るい声に送られて店を出た。
 ポツリポツリと雨がこぼれてきた。
 京助は一つ大きく溜息をつき、雨の中をタクシーを拾うと千雪の部屋へ足を向けたいのを抑え、仕方なく自分の部屋へと向かった。


 雨は朝になってもしとしとと降り続いていた。
 ドアを開けて雨が降っていることに気づいた千雪は、傘を持ってドアを閉めた。
 気分は絶不調だ。
 あまり雨は好きではないが、理由はそれだけではないだろう。
 できれば出かけたくはないが、欠かせない講義があった。
 ここのところ何をやってもうまくいかない。
 研究レポートも連載の原稿もつまり気味で、イライラしている。
 京助の作る料理に慣れてしまったからか、毎日のカップ麺やコンビニ弁当に飽きていた。
 速水や文子が大学に来て十日あまり。
 いや、速水と超最悪な出会いをしてからというべきか。
 いい加減、アメリカに帰ればいいのに。


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