真夜中の恋人52

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 本音はそこにある。
 学食にも行っていないから、文子と京助がどうなっているのかわからない。
 ひょっとしてほんとに、焼けボックイに火がついたのかも知れないなどと、気になってしまう。
 俺ってホンマ、勝手なヤツ。
 自分で京助に来るな、会わないなどと言っておいて、すぐこれだ、と自分でも呆れながら、トボトボと雨の中を歩く。
 植え込みの傍を通る時、土の匂いがして、顔を上げると、雨に濡れた若葉が綺麗な緑色に輝き、初夏を感じさせる風が通り抜けた。


 二階の廊下の窓から雨が地面へと降り注ぐのを何気なく見つめながら、京助は授業の終わりを告げるチャイムを聞いた。
「やあ、京助くん」
 教室から出てきた宮島教授が京助を見つけて声をかけた。
「あ、先生、どうも」
「面白いところで会うね」
「そうですね」
 宮島と連れだって階段を降りる京助は、我ながらいじましい。
 何せ、教授と会ったのは偶然などではなく、宮島の講義がこの教室なのを調べて終わるのを待っていただけのことである。
「そういえばこないだ、千雪のやつのとこへまた刑事が来てたみたいですが」


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