真夜中の恋人53

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 千雪に会いたいが来るなと言われ、しかも携帯も切られているので少しでもようすが知りたいと、宮島教授にさり気なく近づいてみたというわけだ。
「おや、そうなの? 千雪くんも忙しいねぇ。さっきも工藤くんから電話がきて、今夜また映画の打ち合わせがあるみたいだし」
「え…………」
 何だ? それは!!
 意外に簡単に千雪の予定を知ることができたのはいいが、こと工藤のことになると京助は内心穏やかではいられない。
 夜は速水や文子と食事をする予定になっていたのだが、携帯で断りの電話を入れた。
「何だよ、店、予約しちまったのに」
「また今度にしてくれ」
 会わない、来るな、千雪にはそういわれている。
 んなもん、これがじっとしていられるか!
 夕方、京助は千雪のアパートの近くにある駐車場に置いている車を出し、先回りして乃木坂に向かった。
 首都高を降りて、飯倉片町の交差点から外苑東通りに入る。
 地下鉄千代田線乃木坂駅が見えると、京助は速度を落とした。
 青山プロダクションは七階建ての自社ビル二階がオフィスになっており、裏に回ると数台分の駐車場がある。
 京助は空いているのを確認すると、そこに自分の車を滑り込ませた。
 いかにもオフィスに用があるような顔で、ガードマンに会釈をしてオフィス下の螺旋階段あたりへ歩く。


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