真夜中の恋人57

back  next  top  Novels


 京助が勝手にオーダーしたのだが、千雪の好き嫌いは心得ているので、何も文句はない。
 会わない来るなと言っていた手前、千雪はムスッとした顔で腕組みをして、目の前に料理が並べられるのを眺めている。
「で? 今夜は何だ? 工藤のやつ」
「キャスティングとかスポンサーとかの確認や」
「へえ、誰が出るんだ? 監督は?」
 京助は牛フィレのステーキを食べ、千雪の前には赤ワイン煮込みが置かれている。
「志村嘉人とか高野淳子とか、小野万里子とか」
「小野万里子? 案外いいキャストじゃねぇか」
「小野万里子には紹介してもろた。工藤さんとこの所属やて」
「へえ」
「監督や脚本は若手の有望核の人を使うらしい」
 二人とも車やバイクなので酒はなしだ。
「お前の要望はちゃんと通したのか?」
「俺は別に、何もないし、わかれへんから、工藤さんに任せてる」
「作者ってのはもっと主張するもんだろ?」
「俺の手を離れたら別もんやし」
 あっさりしたものだ。
 京助はそれが千雪らしいと思う。
 案外ストーカーしてたことにも怒っていないようだ。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ