真夜中の恋人58

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 フン、今さらだと思っているのかもしれないが。
 このまま部屋に連れて行くぞ。
 京助がそんなことをもくろみながら、デザートのシャーベットに少し手をつけた時だ。
 ポケットでマナーモードの携帯が唸った。
「携帯、鳴ってるで」
「ほっとけ」
「教授のお呼び出しとちゃうか?」
 ちっと舌打ちして京助は携帯をポケットから取り出した。
「……はい、わかりました」
 緊急ですぐ来るようにという教授のお達しである。
「それ、食ったら、ちゃんと帰れよ」
 のんびりと、クレーム・ブリュレを口に持っていく千雪にそう言うと、コーヒーを一口飲んでから京助は慌てて席を立つ。
 と思いきや、千雪に覆いかぶさるようにすばやくキスをした。
「アホ! 人が見てるやろ!」
「わかりゃしねぇよ」
 笑いながら京助はレジに向かう。
「気ぃつけや」
 店を出ていく京助の後ろ姿を見送った千雪は、京助の唇の名残にほんの少し寂しくなった。


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