真夜中の恋人59

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 何日ぶりかで言葉を交わした京助はいつもの京助だったし、何となくほっとしたからか、朝からの鬱々とした気分もいつの間にか消えていた。
 相変わらずストーカーまがいに待ち伏せとか、呆れるのだが。
 ちょっと笑みを浮かべて、千雪はコーヒーを飲む。
「いやあ、ようやく会えたな」
 いきなり現れた影が、京助の座っていた椅子に腰を降ろした。
 驚いて千雪は目を見張る。
「京助のやつ、君を紹介もしてくれないし、部屋も使わせない、出て行けだからな」
 どうしてここに速水が現れたのかと、千雪は考えを巡らせる。
「ガキの頃からの親友にだぜ? いくら何でもそれはないと思わないか?」
 速水はギャルソンを捕まえてコーヒーをオーダーする。
「君は? 何か飲む?」
 口を閉ざしている千雪に、速水は尋ねる。
「こう見えて俺も割りと資産家の生まれなんだ。HCCコーヒーって知ってる? 社長が俺のオヤジで、俺は三男坊。今はね、拠点をボストンにしているが、そろそろ東京に部屋でも買おうとは思ってるんだ」
 何が言いたいんや? こいつ。
 千雪は怪訝な表情を隠すこともなく、速水を睨みつける。
「株主だし、あのくらいの部屋ならすぐにも買える」


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