真夜中の恋人60

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 速水はじっと千雪を見つめながらうっすらと笑う。
「何なら君の好きな部屋を選んでくれていい。部屋は君の自由に使っていいし、小遣いも好きなだけやるし、どうだ? 俺と付き合わないか?」
 何を言い出すかと思ったら、一体全体どういうつもりや?
「断る」
 スパッと切り返されたものの、速水は怯まない。
「どうして? そんなに京助はよくしてくれるわけ? あいつ、タラシだから、いつ捨てられるかわかったもんじゃないぜ? そこ行くと俺はマジになったら絶対大事にしてやるぜ?」
「あんた、耳遠いんか? 断るて言うたんやけど」
 千雪はじっと速水を見据えて言うと、ヘルメットを持って立ち上がる。
 ところが、その腕を速水ががしっと掴む。
「まあまあ、あの京助をその美貌と一体どんな手練手管でたらしこんだか知らないが、京助といえば東洋グループ会長の御曹司だ、なかなかすごいの捕まえたよな? だが、どうせ援助目的だろ? 京助なんかより俺の方がずっといい目を見させてやるぜ?」
 思わずぶん殴ってやりたいところを、深呼吸して千雪は何とか堪えた。
「あんた、自分で言うてて、ようも恥ずかしくないな?」
 侮蔑の視線を向けながら千雪は速水を椅子に突き飛ばして腕を離す。
「ほんまに、京助のダチだけのことはあるわ」
 ひと睨みすると、千雪はそのまま店を出た。


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