真夜中の恋人62

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 自分を呼ぶ声がしたが、そのまま眠っていると、今度は足を蹴られた。
「うっせぇな………」
「疲れてるんでしょ? 放っといてあげましょうよ、速水くん」
 その声は文子だろう、だが「昼だぜ、いい加減起きろよ」と速水はしつこい。
 仕方なく身体を起こして、京助は頭をガシガシと掻いた。
「ヨダレたらしてほうけた顔で、色男が台無しじゃないか」
「夕べは寝てねんだよ。何の用だ?」
「昼だっての」
「ああ? てめぇ、んなことで人を蹴り起こしやがって」
「コーヒー持って来るわね」
 文子がカフェテリアの中に戻っていった。
 ふわあと一つおおあくびをする京助に、速水はニヤリと笑う。
「用といやあ…………そうだな、一つ報告しないとな」
 速水はもったいぶって一呼吸置くと京助を見つめた。
「例の真夜中の恋人、なかなか良かったぜ?」
「……………何?」
 京助は眉を顰めて速水を見上げた。
「フン、てめぇがあんまり出し惜しみするから、夕べ後つけさせてもらったんだよ」
 速水はニヤニヤ笑いながら続けた。
「あの店で、お前が呼び出されたところで、坊やがえらく寂しそうな顔してるんで、ちょっと誘ってやったら、彼氏、ホテルの俺の部屋までホイホイついてきたぜ?」
「てめぇ、デタラメいいやがると……」


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