真夜中の恋人65

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 千雪に気づいた文子が心配顔で佇んでいる。
「何やってんね? あいつら」
 千雪は人垣の後ろに立って二人のようすを眺めた。
「せやから、何か、二人話してたと思たら、いきなり京助先輩が殴りかかったみたいで、どないしまひょ~」
 大きな図体で、佐久間は千雪の後ろでうろうろしているばかりで何とかしようとする気はないようだ。
 千雪はふーっとひとつ溜息をつくと、人垣を掻き分けてつかつかと二人の前に立った。
「ええ加減にせぇよ! ええ年して、アホちゃうか」
 はっと我に返ったように、京助は千雪を見た。
「千雪、お前!」
 京助は千雪の顔を見た途端、いきなり今度は千雪の両肩を掴んだ。
「お前、夕べ、こいつについて行ったのか?」
 耳元で唸るように京助は尋ねた。
「はあ?」
 千雪は一瞬京助が言ったことを心の中で反芻した。
 そしてすぐにそれがどういうことか、どうやら速水が京助にそれらしいことを言い、頭に血がのぼった京助がカッとなって速水を殴ったのだと察した。
「どアホ!」


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