真夜中の恋人67

back  next  top  Novels


 その声には聞き覚えがあった。
「ひょっとして、三田村か?」
 中学からの付き合いだが、声を聞くのは高校卒業以来である。
 生徒会長をやった男で、高校二年の時は同じクラスだった。
「おう、久々会わへん? 俺、海外赴任ようやっと終わって、東京本社になったよって」
「ドイツやったか? こないだ桐島に会うた」
「やってな。どうせなら名探偵小林千雪のコスプレ、見たいし」
 電話口で笑っているのが伝わってくる。
「何やね、それ。見せもんやないからな」
「いや、お前のコスプレ言うたら、二年の時の金髪のお姫様以来やしな」
 思い出したくない過去を掘り出されて、千雪はうっと言葉に詰まる。
「無理やりやらせた本人が何言うてんねや」
「ほな、楽しみにしてるし。日にちまた連絡する」
 三田村のやつ、今のコスプレ見て、絶対笑う気満々や。
 二年の時、学園祭で寸劇をやることになり、みんなをうまく乗せて、千雪にドレスを着せた張本人だ。
 相変わらず強引で勝手なヤツや。
 それに色々と三田村とは因縁があった。
 どちらかというと三田村は千雪をからかうのを生きがいにしていたようなやつだが、ここのところ無意味にイラついている千雪にとっては楽しみな再会となった。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ