真夜中の恋人68

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 いい加減、ミステリー雑誌の原稿をあげなくてはならないと、夕方、千雪は研究室を後にして、あたふたとアパートへ向かっていた。
 アパートの階段まできて、よく知っている顔が立っているのに気づいた。
「待てよ、千雪!」
 無視して階段をあがろうとした千雪に、京助は声をかけた。
「やつが帰るまで来るな、言うたはずや」
 構わず階段を上がり、ドアの鍵を開けようとする千雪に追いすがり、京助は肩を掴む。
「あいつに話す」
「何を?」
 千雪は振り返る。
「お前と俺のことだ」
 唖然として千雪は京助を見上げた。
「何て? 第一、あんなしょうもないヤツとようダチでいられるな? 夕べ、お前の後をつけてたんか知らんけど、お前が帰った後、俺を誘ってきよったで? いかに自分が金持ちか力説して、金で釣るとか、呆れてぶん殴る気ぃもおきんかったわ」
 もちろん、京助も速水が自分に言ったことを真に受けていたわけではない。
 千雪が怒るのは当然だと思う。
「お前の素性を知らないから、あいつは誤解しているんだ」
「ふーん、素性を知らなければ、俺はお前に援交目的で近づいたタチの悪いゲイボーイってわけや?」
「そんなことは言ってねぇだろ?!」
「少なくともお前のご学友はそうとしか思われへんみたいやで?」
「俺はお前とは本気だと言った。だから、はっきり話す。俺が付き合っているのはお前だって」


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