真夜中の恋人70

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 しかし千雪のかなり冷たい言葉にも、京助は怯む気配はない。
「悪いな、千雪。俺はかなりメンドくさい男だからな。おまけに執念深いストーカーだ。それに俺は誰の指図も受けない。親でもダチでも、お前でもな」
 京助は千雪の顔のすぐ傍で、唸るように言い切った。
「俺に見込まれたのが運のつきとでも思っておけ」
 京助は笑い、千雪の肩を押さえつけて唇を奪う。
「く…るしい! アホ! 人を殺す気か」
 念入りな口づけにようやく息をしながら、千雪は京助を突き放す。
「原稿、上げな……帰れ……」
「上がるまでは待ってやる。ちゃんと食えよ」
 足元に落としていた袋を持ち上げて千雪に押し付け、京助は階段を降りていく。
「夕方やからええようなもんの………」
 袋を開くと、デパートで仕入れてきたのだろう、惣菜やサラダ、寿司などが入っていた。
「ほんまに、アホや……京助」
 嫌いであるはずがない。
「メンドくさいし、ストーカーやし、横暴やし!」
 だが京助の真摯な思いが嘘ではないことはよくわかっていた。
「やから、よけい、メンドいんやんか………」
 ボソリと呟いて、千雪はドアを開けた。


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