真夜中の恋人72

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 呆れて思わず声高になる。
「まあ、付き合うてるけど、お互い束縛はしない、いう取り決めしてて」
「はあ……」
 付き合い方は人それぞれだが。
 その時、千雪にはふとひらめいたことがあった。
「桐島、どこでその速水と会うん?」
「ホテルNのラウンジ、言うてたけど」
「俺、やっぱ用事あるし、店決めてるんなら直接行くわ」
「どうしても俺にコスプレ見せないつもりか?」
「そんなに見たきゃ、いつでも大学来たらええやろ」
「ようし、わかった!」
 嬉々として返事をした三田村を思い出して、あいつ、何を楽しみにしているのやら、と電話を切ったあとで千雪はまた呆れた。
 まあ、三田村らしいといえばそうやな。
 原稿を一旦おいておいて、さっきの思い付きをどうしたらうまく行くか、千雪は策を練り始めた。


 ホテルNのガーデンラウンジ、日本庭園を見渡せる窓際のテーブルに、桐島恵美は速水と向かい合って座っていた。
 長い黒髪、レースをあしらった白いワンピースの桐島は、一見して清楚でいいとこのお嬢様という感じだが、口数は少ないものの言うべき時にはしっかりとした物言いをする、高校時代からきりりとした目でまっすぐ人を見る芯の強さが表に出ていた。
 ラウンジの前のベンチで二人のようすを少し伺っていた千雪は、それは今でも変わらないな、と思う。


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