真夜中の恋人74

back  next  top  Novels


 英語にしたのは、せめてものほとけごころというやつだ。
 要は、桐島にも聞かれたと思わせればいいわけである。
 振り返って、えっと千雪を見つめて驚いている桐島に目配せをすると、千雪は二の句がつげないといった態の速水に背を向けてラウンジを出て行った。
 今頃、どんな言い訳をしていることやら。
「フン、ざまぁみさらせ!」
 下手くそな英語なんか使わせよって!
 速水へのちょっとした仕返しで少しばかり溜飲を下げた千雪は、三田村の指定した南青山のワインバーへと足を向けた。


「おう、こっち」
 店に入ると、千雪をみつけて奥のテーブルにいた三田村が手をあげた。
 モノトーンで構成されたシックな造りの店内は、会社帰りのOLやカップルなどで一杯だったが、うるさく騒ぐような学生の姿もなく、落ち着ける雰囲気だ。
「なんや、全然変わってへんやないか、千雪」
「お前はすっかりリーマンしてるな」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ