真夜中の恋人79

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 笑いだす桐島に、三田村が突っ込む。
「すまんかったな、桐島。あれはその、あいつに同じようなことされたよって、やり返したっただけや」
「だって、それまですごく理知的で大人で自信たっぷりやった速水さんが、途端、しどろもどろになってしもて、あれは何か、勘違いしてるんだ、あれは、とかって」
 桐島にしては興奮気味にまた笑う。
「それで私、言ってやったの。あんなステキな方を泣かせたらいけませんわ、速水さん。誤解を解いた方がよろしいと思います。友人にも男同士のカップルとかいますから、偏見はありませんわ……って」
「何やそれ、俺にもわかるように説明せいや」
 三田村がせわしなく桐島に問いただす。
「こちらにきて、たまたま、文子さんと電話で話したの、飲み会があるっていう日。そしたら、速水さん、小林くんの見てくれを面白がって、初対面から名探偵に突っかかるのよって」
「ああ、そう。いろいろ言うてくださったで」
 まあ、それ以前に腹の立つことはあったんやけど。
「それで私、私は振られたけど、すごいステキな名前だし、すごい人気あったんですって、言うてくださいって、文子さんに」
「そら、悪かったな、気ぃつかわせてしもて。あのなりしてると、ほんま誰も寄り付かんから俺としてはあり難いんやけどな、たまに面白がって近づくやつとかもいて」
 それでか、と千雪は文子の言葉の意味を納得する。


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