真夜中の恋人82

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 引き出しの奥にある、あのボタンとともにもうこれからずっと大切に仕舞いこんでおくだけだ。
「そういえば、千雪、小説映画になるんやて? すごいやん」
 話題を切り替えたのは三田村だ。
「あ、ああ、まだどないなるかわからんけど」
「誰が出るんや? もう決まったのか?」
 ひとしきり映画の話で盛り上がったが、九時を過ぎた頃、桐島がリサイタルに備えて準備があるし、そろそろ帰ると言うので、とりあえず店を出た。
「おやすみなさい、またね、小林くん」
「ああ、またな」
 桐島をタクシーに乗せた後、三田村と千雪は少し歩いた。
「そういえば、映画のプロデューサの事務所、ここからすぐや」
 乃木坂の駅へと続く道すじに、青山プロダクションがある。
「へえ」
「小野万里子と志村嘉人はそこの所属」
「ほんまか? ほな、行ってみよや」
 唐突に三田村がそんなことを言い出した。
「何しに? 行ったかて、もう九時過ぎてるし」
「まあまあ、明日は土曜日、休みやし。あ、けど、お前、例の名探偵のなりせんとあかんのんか?」
「いや、社長の工藤さんは知ってはるけど」
「ほな、ええやん」


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