真夜中の恋人85

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 なのに何だって、今回やたらあんな言い方をするんだ?
 千雪には、やつとは縁を切るなんて言ったものの、克也のやつがそうそう物分りの悪い男とは思えないんだが………。
 その時ポケットの携帯が鳴った。
「お前か。あ? 何だって?」
 かけてきたのは今しがたいろいろ考えていた当の速水である。
「やられたよ。真夜中の恋人に、お前が入れ込んでるあの坊やだ。あのやろう、俺がようやく桐島恵美を誘って真剣に語らっていたところへやってきて、ひっかきまわしていきやがった」
「言ってる意味がわからねぇ」
「だから、桐島恵美の前で、いかにも俺に遊ばれたみたいなことを言いやがって、俺の面目は粉々だ! 貴様、あいつに俺が桐島恵美と会うことを話したのか?」
 どうやら千雪が速水と桐島のデートをぶち壊したらしいとは理解した京助は笑った。
「何で俺がわざわざあいつにそんなことを言わなきゃならねんだ? フン、自業自得だ。てめぇのやったことを胸に手をあてて考えてみるんだな」
 携帯を切ってから、京助は思い当たる。
 つまり千雪は桐島と連絡を取り合っているのか?
 その程度のことが気になる俺は、器の小さい男だよ、バカやろ!
「女将、もう一本頼む」
「はいよ」
 やはり、克也がアメリカに帰る時にでも千雪のことは話さねばならない。
 千雪はよくは思わないかもしれないが。
 克也はそこまでバカな男ではないはずだ。
 京助は眉を顰めながら残りの酒を飲みほすと、店を出た。


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