真夜中の恋人87

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 一方、青山プロダクションのオフィスでは、小野万里子を前にした三田村が狂喜していた。
「いやあ、お目にかかれて光栄です。千雪の高校の同級生で三田村潤といいます」
 三田村が小野万里子の手を握り締めるようにしてなかなか離さないので、万里子も困惑している。
「三田村、ええ加減にせぇよ」
 千雪に言われてようやく手を離したものの、三田村は満面の笑みを浮かべて足元も浮ついている。
「そうかて、俺、高校の時からファンやってんで。直にお目にかかれる時がくるなんて」
「芸能関係全然興味ないって顔して生徒会長やってたくせに、実はミーハーやってんな」
「しかも、お手ずからお茶をいただけるなんて」
 千雪の揶揄にも三田村は舞い上がったままだ。
 二人が顔を覗かせると、既に鈴木さんは帰っていないし、マネージャーの菊池はたまたまコンビニへ買出しに出ていた。
 いつものごとく工藤は電話で何か怒鳴っている。
 それで万里子がコーヒーをいれてきたのだ。
「でも高校の時からとか言われると、私、随分おばあちゃんってことよね」
 自分もコーヒーを飲みながら、ボソッと口にする。
「とんでもない、万里子さんは永遠にお若いです!」
「三田村さん、今、おいくつ?」
「二十三です」
「やっぱり二歳もおばあちゃんだわ」
「歳とか女優さんには関係ないと思います」


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