真夜中の恋人94

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 自然と肩を並べるように歩きながら、速水は言葉を搾り出した。
「ああ、何か、千雪のやつコスプレしてるんやて? 俺、最近日本に戻ってきたばっかでまだ見てないんです。近々、大学のぞきにいってみよ思て」
 つまりこの三田村と小林千雪と桐島は高校の同級生で、だから小林千雪は桐島と自分が会っていることを知りえたのだ、速水はとりあえずそれは理解した。
 オフィスの面々はどうやらあれが小林千雪と知っていた、あの刑事もだ、それも理解した。
「……何故、彼はあんなナリを……?」
「ああ」
 速水の疑問に、三田村が答えた。
「何せ、あの容姿ですやろ、目立つやんか。高校ん時も女にもてるの、俺と競ってたくらいで」
 三田村は嘯いた。
「アイドルまがいによその学校の女に追い掛け回されよったりして、懲りたんやないですか? 弁慶が離れてしもたこともあるしな」
「弁慶?」
「ああ、ガキの頃からずっと千雪のガードしてたみたいなやつがいて、大学進学で離れよったから、千雪も苦慮の末の策やった思いますよ」
「なるほど……」
 まるで憑き物が落ちたように、速水は頭の中が冷静になっていくのを感じていた。
「追っかけまわすの、女だけやないし。ま、俺ら、結束固いですよ、結構みんな千雪のこと好きやから」


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