真夜中の恋人96

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 速水はこちらに向かってくるタクシーを停めた。
「ほな、お疲れ様でした」
 三田村はイケメンだが、関西人だからかひょうきんな雰囲気がする。
 だが、時々見せる表情は案外キレ者を隠しているのかもしれない。
「麻布二丁目」
 運転手に告げると、つまりは、桐島にもすっかり騙されたのだと思い返す。

 みんな、結構千雪のこと好きやから

 三田村の言葉が何やらやたらと胸に響く。
 マンションに着くと、ちょうどエントランスに入っていく住人らしい二人連れについて速水はエレベーターホールへすんなり入ってしまった。
「何の用だ、今頃?」
 チャイムを押すと、画面で速水を見ているのだろう、思い切り不機嫌そうな京助の声がした。
「開けろ、話がある」
 実物は思った以上に不機嫌な顔で速水を部屋へ入れた。
 ボサボサの髪を引っ掻き回しながら、「何だ、話って」とリビングに向かう京助は、上下黒のジャージ、裸足で絨毯の上を歩いている。


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