小草生月某日-15

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 今日は積雪があるだろうと予報でも言っていたが、午後四時をまわる頃には雪がちらつき始めていた。
疲労困憊で今日は眠りたいと、宮島教授の学会への資料作成が終わると早々にアパートに帰った千雪は、ざっとシャワーを浴びただけでベッドにもぐりこんですぐに寝てしまった。
シンクの水の音や味噌汁のいい香りに千雪が目を覚ました時は既に夜八時になろうとしていた。
「……京助?」
「起きたのか。ちょうどいい、お茶を入れたとこだ。お前何も食ってないだろ、寿司を買ってきた」
 ベッドに起き上ったものの、千雪はしばしぼんやりと京助がテーブルに味噌汁を持ってくるのを見ていた。
「昨日、しゃあないから弁当ここまで帰って食うたんやで」
「ああ」
「美味かった。いつもおおきに」
「何だあらたまって。ほら、食うぞ、こっちに来い」
 千雪はほてほてとテーブルまで歩くとのっそりと椅子を引いて座る。
 寿司は行きつけの銀座の店だろうしっかり美味いし、それに大根、白菜、ニンジンにしめじが入った具だくさん味噌汁も、この時期ぐっと温まる。
 さらに京助の持ってきてくれた赤ワインがまた飲みやすくて美味しい。
寿司を食べ終えた頃、千雪は京助が妙に勘繰る前にと三田村の送ってきたバラのことを話した。
「三田村のやつ、俺で遊びよってからに」
「へえ、で、花はどうしたんだ?」
「まあ花には罪はないし、カード剥がして小夜姉ぇに送った」
「ほお? んで、そこの可愛らしい包みは?」


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