お正月11

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 そこへ紫紀を通じて原夏緒の作品展の話を聞いた祐紀は、即座に進展していない美術館との交渉を打ち切り、俄然、館長自ら企画に積極的に参加しているという。
 ともあれ三田村がプロデュースを買って出てスポンサーを集めてくれたらしいが、東洋グループがメインスポンサーとなれば、美術館としても大々的に宣伝ができると祐紀は喜んでいた。
「せえけど、あんまり大々的いうのんはな」
 そもそも原夏緒はそんな大それた画家ではないし、と千雪は呟いた。
「要は展覧会自体、雰囲気を大事にすればいいんだろ。あの男なら、そのくらいわかっているだろ」
「気をつけろとか言うたくせに」
「それとこれとは別だ」
「けどな、俺だけやったらでけんかったようなことが、周りのお陰でいきなり現実になる言うのんがちょっとな」
 京助は「バアカ」とふんぞり返る。
「原夏緒という画家に協力したいってやつがやるからいいんだろうが。お前一人でも俺と二人でもなかなかできるもんじゃないし、企画はプロに任せておけばいいってこと」
「まあ、三田村はドイツで展覧会の企画とかやったことあるみたいやけどな。あいつ自分の仕事もあるやろし、とにかく勝手にやりよってからに」
「いいんじゃね? 好きでやってるんだから任せておけって」
 とりとめもない話をしながら、大晦日の夜も更けていく。
 静けさを破って除夜の鐘が鳴り始めた。
「お、始まったな」
 ぐい飲みを空けながら京助が微笑んだ。
「こんなゆっくり除夜の鐘聞くなんて久しぶりや」
「まあ、飲め」
 京助は千雪のぐい飲みに酒を注ぐ。


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