お正月18

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 みんなが楽しんでくれるのならそれでいいかと、まだ気だるい身体を持て余し気味に周りを眺める。
 研二が穏やかに笑っているのを少し寂しく思いながらもこうして眺めていられるのも、京助のお蔭か………。
 それからトイレに立ったのはせいぜい五、六分ほどだったのだが。
 戻ってきて居間のドアを開けた途端、パン、パンと目の前で何かがさく裂した。
「千雪くん、お誕生日、おめでとう!」
 酒に酔い、いい年をした仲間たちが口々に言った。
 テーブルの上には大きなバースデイケーキが鎮座し、様相が一変していた。
「お前はここ!」
 千雪の腕を掴んでケーキの前に座らせたのは三田村だ。
 桐島がしばらく蓋も開けてなかったピアノで伴奏し、ハッピーバースデートゥユウと子供にかえったようにみんなで合唱した後、総勢二十名ほどが千雪を取り囲むと、三田村がカメラのシャッターを切る。
 次にはシナリオ通りという感じで、三田村と変わって京助がシャッターを切る。
「お前か、この企ては!」
 祝ってくれるというものを邪険にもできず、千雪は苦笑いする。
「菊子がきたらまた撮るからな、あいつ自分が入ってないて怒りよるやろし」
 三田村はニヤリと笑う。
 その時、玄関のチャイムが鳴った。
「菊子か?」
「まだ八時前やで、誰や?」
 千雪は壁の時計を見ながら立ち上がる。
「まあ、主役は座ってろ。俺が見てくる」


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