お正月19

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 千雪を制して三田村が玄関へ向かう。
 一人くらい増えても構わないだろうが誰だろう、と千雪はクラスメイトの顔を思い浮かべる。
「千雪、メガネ」
 戻ってきた三田村が言った。
「え?」
「お前の後輩、佐久間ってやつ」
「佐久間? あのやろう、何しに来やがった!」
 千雪の代わりにそのやり取りを聞いていた京助が面白くなさそうに呟いた。
 そういえばとポケットから携帯を取り出してみると、いくつか電話が入っている。
 千雪としても素のままでいる今、あまり会いたくない相手だった。
 面倒やな……
 心の中で呟きつつも、仕方なく玄関に出て行く。
「何や、急に、どないしてん、えらいめかしこんで」
 らしくもないパリッとしたスーツに、コートを抱え、神妙な面持ちで佐久間は玄関に突っ立っていた。
「あ、あけましておめでとうございます!」
「しゃっちょこばって、わかった、これからリクルート?」
「やめてくださいよ、先輩、お年賀ですがな」
 そう言うと佐久間は大きめの袋を差し出した。
「そらまた、ご丁寧にどうも。……上がっていくか?」
 酒らしい包みが入っている袋を受け取ると、玄関先で返すのもさすがに可哀想だとは思うのだが、半分帰ってくれないかという期待を持って、千雪は言った。
「何や、すごい賑やかですね」
「同級生集まっとるんや」
 言外に部外者は遠慮せい、という意味を込めて言ったつもりだった。
「京助先輩もいてはるん?」
「……まあ……」
「ほな、ちょっと挨拶させてもらいますわ」


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