お正月21

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 ピアノがまたメロディを奏で、今度は三人で人気ミュージシャンのバースデーソングを歌い始めるとあちこちから冷やかしやら声援やらが飛び交う。
 佐久間のことは三田村に任せて千雪は剣道部の仲間と話しながら、三人の歌が始まるとそちらに顔を向けた。
「あれ、どなたはんの誕生日でした?」
「千雪。先輩の誕生日くらい覚えておけよ。まあ、実際は暮れの三十日だが」
「え、あ、そうでしたか! そうかて、先輩そんなことちっとも話してくれへんし」
 やがて大喝采のあと、「ここで重大発表があります!」と片手を上げて声を張り上げたのは住田だ。
「うち、ずっと千雪くんが好きやったんです!!」
 途端、おおおっと騒めき、男どもがやんややんやと囃し立てる。
「住田! お前、こないだ婿とったばっかやろーが」
「はい! 千雪くんをずっと好きだったんはうちでーす!」
 ところがこれに乗って片手を上げて宣誓したのは、今度は桐島だ。
「おーーーっと、桐島、カレシの前でよう言うわ!」
「ほんまやもん!」
「いややわ、千雪くんのこと好きやったんは、うちやて、みんな、知ったはるやろ」
 今度は負けじと江美子が宣言する。
「おい、千雪、どないする? どれをとっても不倫やでぇ」
「やっぱ、作家センセはそのくらいせんとな、千雪」
 からかう声があちこちから降ってくる。
「せやなー、ほな、順番に……」
 半分呆れながら千雪は嘯いてみせる。
「おーっ! アニさんに負けんなよ、千雪」
 ニヤニヤと三田村が茶化す。
 ひとしきり騒いだあと、桐島がピアノに向かいショパンのエチュードを弾きはじめると、居間が一瞬静まり返る。


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