お正月3

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 クリスマス頃から強い寒波は日本全土を覆い、大晦日の東京でも朝から雪がちらついていた。
 宣言した通り千雪は三十日は死んだように眠り、夕方目を覚まして荷造りをした後、日本橋の原の家へ挨拶に出向いた。
 伯父伯母、それに小夜子と一緒に食事をした帰り際、小夜子から渡されたお節料理が入ったお重を持って、千雪は正午を回った頃、東京駅の新幹線のホームに向かっていた。
「ああ、今、ホームや。ああ、弁当買うとくわ」
 雪が舞うのを見ているだけで寒くなる。
 京助は少し遅れると電話をしてきたのだった。
 ここしばらく映画関連でうんざりしていた千雪が、正月は実家に帰ると言うと、京助は一緒に行くと言い出した。
「実家に来い言われてたやんか」
 たまたま千雪と一緒にいる時に、京助は兄の紫紀から正月には家に来るようにという電話を受けたはずだ。
「断った。うざい親戚どもが集まるだけだし、俺が行く必要なんかない」
 夏前に日本に帰国していた京助の悪友速水から、昔、親戚の誰だかを殴ったことがあると聞いたことがある。
 何でも当時つき合っていた彼女の父親が京助の父親が会長を務める企業傘下の社員で、そこの社長をしていたその親戚の誰だかが、京助とその彼女は家柄的に釣り合わないとかでその父親を海外に飛ばしたことが京助の耳に入った、というのが理由らしい。
 お蔭でその誰だかは京助を見ると思わずびくつくようになったとか。
 京助の周りは一見華やかそうに見えるが、その表裏ない性格ゆえ世の中を渡っていくのがうまくないとは、紫紀が京助をからかいながら話していた。
 速水がそんな京助が千雪に騙されているのではないかと心配したというのも一応、千雪としてもわからないでもない。
 竹を割ったようなというのは京助のような男のことを言うのだろう。
 間違っているものを間違っていると言って何が悪い、高校時代上級生に突っかかっていった経験がある千雪には頷けることではあるが、さすがにいい大人としてお互い少しは分かってくるというものだ。


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