お正月4

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 とはいえ、京助が嫌いな親戚の集まりに顔を出したくない気持ちは千雪にもわかる気がする。
 しかしだ、色々あったとはいえ、春からずっと京助はストーカー染みて時間さえあれば必要以上に千雪の傍にいる。
 ちょっと度を超えている。
 まあ、千雪の仕事の邪魔をすることはないし、ちょっとウザいくらいで不快なわけではない。
 むしろ食事から何から世話を焼いてくれているその状態に寄りかかってしまう自分が情けないと時々は思う千雪なのだ。
「一時発やからあと十五分か。無理に俺に合わせんでも、後から来たらええのに」
 せっかくの新幹線の旅、二人で楽しまないでどうするよ、という京助の思惑など何のそのなことを時計を確認しながら千雪は呟いた。
 ちょうどその頃、千雪にとってもう一人のウザい男が実家への土産を適当に選びながら東京駅構内を歩いていた。
 理紗子の編集部の仲間らと白馬のホテルで面白おかしくクリスマスパーティを楽しんだ後はスキー三昧、プラスそのあとは理沙子とゆっくりしっぽり二人きりの夜を過ごした佐久間は、三十日の夜に東京に戻ってきた。
 本当は大阪の実家に帰ることになっていたのだが、まったりお茶などしているうちについ、理沙子の部屋へ直行してしまい、ようやく昼近くになって自分の部屋に戻ったというわけである。
 慌てて東京駅にやってきた佐久間は、とりあえず新幹線の切符を買って時刻を確認した。
「そういえば京助先輩、千雪先輩んとこ一緒に行くて言うてはったな」
 確か三十一日の午後一時の新幹線だったと佐久間は思い出した。
 ひょっとして会えたら京都までは一緒に行けるカモなどと思いつつホームに上がって辺りを見回した。
「あれ、あの人……確か、かの超美人やないか?!」
 佐久間がいる十六番ホームから十八番ホームに立っている人の顔は小さくしか見えないが、二月に理沙子と入ったバーで、京助と一緒にいた『真夜中の恋人』その人に違いないという確信があった。


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