お正月5

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 佐久間はあたふたと気もそぞろに十八番ホームにいるその超美人を見つめていたが、次には慌ててホームを駆け降り、十八番線へと走った。
 エスカレーターで上がるのももどかしく階段を駆け上がった佐久間は息を整えながらさっき見つけたかの超美人を探す。
 と、先を歩いている大柄な男は京助だとわかった。
「あっ! やっぱ京助先輩、あの超美人と……!」
 京助が声をかけたのはやはりかの超美人その人に間違いなかった。
「あれ、千雪先輩も一緒に家帰らはる言うてはったけど、ほな、予定変わったんやろか」
 佐久間は、ひょっとして急遽、京助があの超美人と一緒に旅行か何かに行くことになって、一緒に実家に行くことにしていた当の千雪はひとりアパートにまだいるのではないかと、余計な気を回す。
「一人あぶれてしもて、千雪先輩………」
 思い切り同情で頭をいっぱいにした佐久間は、京助たちの方を窺いながら「しゃあない、俺が一緒に帰ったるか」とばかりに携帯で千雪を呼び出した。
 ポケットの携帯が鳴り始め、千雪は眉を顰めながら京助を待って切るのを忘れていたのだと仕方なく携帯を取り出した。
「何や」
 画面に出ている名前を見て思わず切ってしまおうかとも思ったが、とりあえず目一杯不機嫌な声で出た。
「あ、せんぱい? 今、アパートでっか?」
「いや、新幹線のホームやで」
「え………?」
 佐久間はその時、京助と一緒にいる超美人も携帯で電話をしているのに気づいた。
「誰だ?」
 傍から京助が聞いた。
「佐久間や」
 言うが早いか京助が千雪の手から携帯を取り上げる。
「何の用だ? もう乗るから切るぞ!」
「え……京助せんぱ………!」
 少し離れたところに突っ立って、茫然と二人を見つめている佐久間の視線の先で、京助は千雪を促し、ホームへ滑り込んできた列車に乗り込んだ。
「何ですのん? どないなってん?!」
 佐久間は今しがた見た事実をなかなか把握できない頭を抱えながら列車がホームを出て行ってもしばらくその場を動けずにいた。


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