お正月6

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 京都の実家に帰るのは七カ月ぶりとなる。
 こちらも粉雪が舞い、寒さは今年一番だと、行き交う地元の者たちが話していた。
 タクシーを降りて門を開けると、千雪はようやく家に帰ってきたという実感がわいた。
 家の管理をお願いしている家政婦の倉永さんから、正月帰るのなら掃除をしておくと十二月に入ってから連絡があり、頼んでおいたので、家の掃除から庭の手入れまできっちりしてくれてあった。
「ちっさいうちやけど、これから家中掃除とか考えられへんから、ほんまありがたいわ」
 ピアノの調律も立ち会ってくれたらしい。
「そういえば、京助も京都におったことがあるんやったな」
「一年足らずだがな」
 京助は既に勝手知ったるでブレーカーを上げ、エアコンや灯りをつけて回り、コートを脱いで年季の入った木製のハンガーに引っかける。
「どの辺りにいたん?」
「知恩寺ってあるだろ、その近くだ。あの頃はよかったぞ、静かで。俺も真面目な学生だった」
 千雪が脱いだコートを取り上げてハンガーにかけている京助に千雪は笑う。
「静か? 京助が?」
「てめ、何を笑いやがる」
 当時のことをたまに思い出すことはあるが、それは胸に重いことも同時に蘇る。
 母の死、当時つき合っていた美沙との別れ、ずっとそれらを事実として受け止めることができないでいた。
 だが千雪との出会いによって救われたというのは、あながち大げさなことでもない。
 外見にとらわれていると見損なうかもしれないが、初対面から千雪は面白い存在だった。
 視点が違うというかずれているというか、まあ、クリエイターという種族は多かれ少なかれそんなものなのだろうが。


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