かぜをいたみ 16

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 ここにいる大概の者は、工藤と千雪、それに京助の絡みを知っている。
 だが、千雪が工藤と出会って間もない頃の本当のところを知っているのは軽井沢の平造のみだ。
 工藤とは、考えてみれば随分長い付き合いになる。
 やけくその成り行きだったとはいえ、二人の関係はまったくまっさらではない。
 もう昔の話ではあるが。
 でも、と千雪は思う。
 元はといえば京助が悪いんや。
 以来、工藤と京助は犬猿で、京助がガーガー言えば言うほど、工藤は千雪に再三モーションをかけるし、そうするとまた京助が怒鳴り込む、というようにほとんど二人のライフワークのようになっている。
 周りの冷やかしも工藤は面白がっているのだ。
 だが、それでも確かに工藤が自分を大事にしてくれていたことは千雪はわかっている。
 今もやはり気遣ってくれていることも。
 だから、工藤には千雪なりの誠意を持って接したいと思うのだ。
 それにしても、何だか今夜の工藤はちょっとヘンだ。
 どこが、といってはっきりわからないのだが。
「良太ってば、どしたん?」
 アスカの心配そうな声に、千雪は良太を振り返る。
「あ、うん、平気…」
「平気って顔じゃないわよ。工藤さん、良太こきつかってるでしょう? こんなに痩せちゃって」
「これしきでくたばるようなヤワなやつは、うちにはいらない」
 工藤が鼻で笑う。
「でも、ね、もう休んだら? 今夜は内輪だし、片づけなんか明日でいんだから」
 アスカが言った。
「あの…すみません、そうさせてもらってもよろしいですか? 社長…」
 青い顔で良太が工藤に訴える。
「仕方ねぇな」
 工藤は不機嫌そうに頷いた。
「お先に失礼します」
 良太はぺこりと頭を下げて出て行く。
「えらい青い顔してたで、大丈夫かな」
 千雪は良太の後姿を見送って呟いたが、それから工藤を見て、また首を傾げる。
 煙草をくわえたままぼんやり、どことはなく視線を彷徨わせている。
 そんならしからぬ工藤はあまり記憶にない。
「何で大澤が千雪を知ってるんだ」
 後ろで俊一が流を捕まえて問いただしているのが、千雪にも聞こえた。
「ああ、俺? こないだTスタのトイレで小林先生が安西のマネージャーに襲われてんの、俺、助けたんだ。そん時さ」
「全体、どういうこった? そりゃ?」
 流の発言に俊一が声を荒げる。
「だから、安西のマネージャーが、何で俺を起用して安西を落としたんだってさ、先生に詰め寄ってたんだ」
「何いぃ!?」
 俊一の表情は益々険しくなる。

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