かぜをいたみ 17

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「頭に血ィのぼっとっただけやし、あの人。ちょっと俺もまさかと思ってたから不覚をとってしもて。とっくに目ェ覚めてるやろ。きっと安西さんは何も知らんこっちゃ」
「そーやって、すぐ気許す! ユキは! 安西豊ってここんとこ人気下がり気味じゃない? あの人、流みたいにアクないしね」
 とは容赦ないアスカ。
「どうせ俺はアクだらけだよ」
 流が応戦する。
「だらけじゃなくて、存在自体がアクだモンね。自己中で我侭で」
「そっくりお前に返してやるぜ」
「言ってくれるじゃない!」
 二人のやりとりがおさまりそうにないのを見て、
「どっちもどっち言うこっちゃな」
 ポロッと千雪の口から零れる。
「ユキまでいうことないじゃないの! 写真撮られたことは謝ったじゃない!」
 一瞬にして場は静まり返る。
「ちょっとぉ、何それー、どーゆーことよ!?」
 万里子が憮然としてアスカに詰め寄る。
「まさか、ひと月前の、あれ、千雪だったのか?」
 俊一までが納得という顔でニヤニヤ笑う。

 思い出したくもない。
 夏本番を迎えた蒸し暑い午後のことだった。
 まさしく苦虫を噛み潰したという顔で法学研究室にやってきた京助が、手にした週刊誌を何も言わずに千雪に突きつけた。
 千雪はなにごとかとページをめくり、果たしてそこに、アスカを送っていったまさにあの日の写真がデカデカと出ているのを見て思わず溜め息をついた。
「どないしたんです?」
 研究室の後輩である佐久間が千雪の肩越しに雑誌を覗き込む。
 途端、ゲッと呻く。
「センパーイ……いつからそーなってんです?」
「いつからもなにも……」
「俺も聞きてーもんだな? え? 千雪……」
 皮肉っぽい京助の言葉が追い打ちをかける。
『白昼堂々、アスカ新恋人と激写』などというキャッチコピーつきだ。
「ただ送っていっただけや」
 千雪はムッとした顔のまま言った。
「ほう? それで? この二人に何があったかにマスコミやらファンは興味があるわけだ」
「せやから何もないていうてるやんか!」
 千雪は写真週刊誌を京助に突き返す。

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