かぜをいたみ 21

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「ほんと? あたし大好きなの! タコヤキ」
「お前、タコヤキなんか食うの? モデルのくせに」
「やだ、何よ、モデルがタコヤキ食べて悪い? 大好物よ! ユキこそタコヤキなんか食べるわけ?」
「俺こそ目がないんやで。高校ん時の学祭なんか3年間タコヤキ屋やってんで、ウチの部」
「ホント? ユキ、学祭でタコヤキなんか焼いたんだ」
「俺がタコヤキ焼いて悪いか? どーでもえーけどな、とにかく研二は、俺に買うてきてんよってな」
「あっ、ユキがそんなケチだったわけないわよね?」
「俺? ケチやで。残念ながら」
 知らず知らず二人を遠巻きに皆が見ている。
「あの二人、ナカナカイイセンいってるじゃねーか。工藤が面白くねーわけだ」
 俊一がボソリと呟く。
「ホント、ハタから見ると、お似合いのカップルって感じ?」
 最近俳優としてしっかり力をつけてきた嘉人や秋山も同意する。
「ちょっと見はね」
 面白くなさそうに言い放ったのは万里子だ。
 俊一と付き合い始めた今も、千雪は特別な存在なのだ。
「あんたさあ」
 いきなり耳元で言葉をかけられて千雪が振り向くと、流が眉をひそめている。
「アスカは我侭だけど、ネはいー女なんだぜ? 大体、家族ぐるみの付き合いしてんだろーがよ? 二人、見ててもてんでいい雰囲気じゃん。いくら仕事が欲しいからってよ、あんなコマシのダーティなヤローよか、アスカの方がよっぽどいーと思うぜ? 俺ぁ」
 始めは何を言われているのかわからなかった千雪だが、やっと意図を解して苦笑いする。
「そない簡単に割り切れんいうのんが感情やで」
「感情? ハ、えっちの間違いじゃねーの?」
 千雪が嘯いてみせると、流はむきになって言い返す。
「そら、それかて当然やろ? ホンマ、この眼鏡かて、いつもあちこちでぞろそろと女の子に後をつけられたりするのがウザったかったからやし」
「言うじゃねぇか」
わざと流を煽るようなことを言って、ビールを開ける。
 その時、ドアが開いてブーツでドカドカ入ってきたのは誠だった。
「おじゃましまっす! おう、千雪」
「おう、誠」
「誠」
「よう、アスカ」
 二人はバシッとハイタッチで挨拶を交わす。
「あんた、こいつの、何?」
 そこへ流が割り込んだ。
「何やお前」
 誠はジロリと流を睨む。
「大澤流。今、人気絶頂の俳優やんか」
 千雪の説明にも誠は、ほう、と一瞥する。
「今度のドラマに出てくれはってん。こいつは高校の時からのダチで、辻誠。コイツ中古車兼バイク屋なんや」
「へえ、ゾクのニーちゃんまでお友達?」
 誠は目を眇めて流を睨みつける。

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