かぜをいたみ 29

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「横暴ヤロー! 誠! あたしも飲むっ!」
 その背中にアスカが声を張り上げる。
「おい、それ以上はヤバいんじゃねー? 相当飲んでるやろ?」
「いーのっ! 飲むったら飲む!」
 言いながらアスカは研二の腕にしがみつく。
「いーでしょ? 研二さん」
「仕方ねーな、河岸を変えるか。」
 工藤が言った。
 一行はタクシーを拾い、六本木の街に繰り出していった。

 車に押し込まれるようにして、京助の部屋につれてこられた千雪は、その勢いのまま、上半身を脱がされ、腕の傷を曝された。
 容疑者のナイフが掠っただけなので、確かにもう傷は乾いている。
「向こう見ずも程々にしろ」
 そう言った京助の声は妙に落ち着いていて、却って不気味である。
「風呂から上がったら、手当てしてやる」
 湯を張って出てきた京助に言われ、千雪は何となくさからわぬ方が得策と内心頷いて、風呂に入った。
 にしても、なんややっぱ、気になるな…。工藤さん。
 何かあったんやろか…
 いつのまにウトウトしたのか、湯の中に沈みそうになって、慌てて湯から上がる。
 バスタオルを腰に巻きつけ、リビングに行くと、京助は難しい顔でノートパソコンの画面に向かってキーを叩いている。
 そういえば、いくつかまとめて論文を仕上げなければならないと言っていたのを思い出し、千雪は邪魔をしてしまったようで、ちょっと罪悪感を覚える。
「湯入れてるで」
「おう」
 京助は千雪をソファに座らせ、救急箱を持ってきて、傷口を消毒した。

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